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顧客事例
Showcase
 

顧客との強固な信頼関係を作る

ビットエイジのソリューションを導入していただいたお客様の事例をご紹介いたします。

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院内トリアージシステム岩手県立磐井病院 様
救急現場の悩みから始まったシステムの開発

救急外来を受診する方には、症状が深刻であったり悪化する可能性がある方がいます。このような患者は緊急度が高く、より迅速に診療を受けるために、院内トリアージが必要となっています。

多くの病院で行われている院内トリアージは、緊急度判定支援システム(JTAS2012)や独自の工夫を加えた記録用紙を用いて運用しています。さらに、安全かつ効果的に院内トリアージを行うために、トリアージナース養成やJTAS教育、検証のための症例検討会などを行って看護師のスキルを確保しています。

私たちは2015年に岩手県立磐井病院様から用紙による院内トリアージの限界と、課題をヒアリングする機会を頂きました。既存のトリアージシステムの導入も検討されたようですが、トリアージ記録システムだけではなくトリアージの思考過程をサポートするシステムが欲しいとの要望があり、システム開発を手掛けることになりました。


開発背景「どうしてシステム化が必要だったのか?」

岩手県立磐井病院では、2011年12月より「救急外来問診票」による院内トリアージを導入しています。

2014年のデータ分析では、受診患者の大半にトリアージを実施し、院内トリアージ算定率はwalk-in患者の約40%前後でした。その中でアンダートリアージとオーバートリアージを含めたトリアージ修正率は8~9%ほど確認されました。

修正が必要な要因は、問診票がJTASに準拠しているとは言え、独自に開発した部分もありJTASシステムに含まれるすべての判定基準を網羅できないこと、記載漏れがあり判定の根拠が明確にできないことが考えられました。

事後検証を行うにもJTASの主訴リストを全て記載していないため、単純な比較検証を行うことができませんでした。問診票による院内トリアージでは、看護師のスキルと経験値によって緊急度判定結果が左右される症例が見受けられたのが現状です。

そこで、JTASシステムにできるだけ準拠し、JTASの主訴リストや補足因子を完全に把握していなくとも、トリアージの中でその思考をサポートできる新たな「救急外来トリアージサポートシステム」の開発に取り組みました。


インタビュー

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佐藤 加代子 看護師
主任看護師
救急看護認定看護師
呼吸療法認定士
── 救急外来問診票(記録用紙)の限界はどのような点でしょうか。

二次救急医療施設の救急外来では、医師も看護師も日当直体制をとっており、院内トリアージは救急経験が3年以上ある看護師が行っています。

問診票に記載のない主訴への判定は看護師のスキルと経験値に頼っていて曖昧でした。月に2~3回の日当直を行う外来看護師にJTASシステムの周知や、まれにみられる主訴への対応や知識を深めることは、本当に難しいのが実状です。問診票だけではトリアージを行った看護師の思考過程が解釈できず、フィードバックにも苦渋していました。

問診票の記載漏れがあると、時間経過や第一印象の確認ができなかったり、バイタルサインの測定結果を記載してもアセスメントしないため緊急度判定に反映されないこともありました。問診票からデータ分析するためには、Excelなどへの再入力やデータの集計、JTASと一つ一つ比較する時間や知識が必要となり、検証が十分に行えないという問題がありました。

── システムを開発して、いかがでしょうか。

3年分の問診票のデータを地元大学に依頼して、地域性や病院の特徴を調査しました。そのデータを分析し、JTAS システムを院内トリアージの運用に合わせて、いかに使いやすくするかという点で検討、改良を行いました。何よりJTASでは網羅できない主訴や症状を補完できたことで、より使いやすくなっています。

その結果、JTASシステムを熟知していない看護師でも主訴リストを探すことができ、緊急度判定に必要な観察視点や問診ができる、サポート機能を備えているシステムにまとまったと思います。

問診票からの再入力がなくなったことで時間的にも人件費の面でもコスト削減の効果を生み、データ分析も十分に行うことができるようになりました。


── システムの導入後はいかがでしょうか。

トリアージという観点になって問診時に聞けるかどうかは、看護師のスキルに依存する部分が大きいです。この部分をシステムによって表現して、一定の基準を作りました。

紙の問診票が最小限の時間で済む理由は、最低ラインである第一印象とバイタルを拾えば判定できるため、この点はシステムでも重視しています。

患者一覧表示は、看護師の画面は患者の受付順の表示なのに対し、医師の画面では緊急度の高い順に表示されているため、赤(緊急)の診察が今までより早く行われるようになりました。医師コールしなくても画面をみてどんどん診察を行っています。
患者さんもしっかり問診を受けることで、待ち時間に関する意見が減少し安全に
お待ちいただけるようになりました。
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中村 紳 医師
副院長 兼 医療情報管理科長
医学博士
救急科専門医
循環器専門医
総合内科専門医
── 中村先生、医師として本システムにどのような印象をお持ちでしょうか。

システムを導入する前(紙の問診票)は、トリアージする人によってばらつきが大きかった印象がありました。きちんと評価する人もいれば、バイタルサインを記入しても判定が未記入だったりと、自由に記入できる分、緊急度の判定が看護師によってばらつきが大きかったのは問題だったと思います。

システムの導入後に関しても、それで診療が滞っているということはありません。むしろ、診察前に看護師が時間をかけて聞いてくれるほうが患者さんにとってもいいと思います。

それから問診票の時は、赤(緊急)だと看護師さんが口頭で「早くみてください」と言ってくるのですが、黄(準緊急)だとそのまま診察待ちボックスに入れておくだけなので、気づかずに受付順に見たりするときもありました。今回システム導入に伴って、患者一覧の一番上に緊急度の高い人が表示されるので、厳密にトリアージの順番で診察するようになりました。

診察している医師は電子カルテの端末の近くにいるとは限らないので、スマホ等でも見ることができるようになるともっといいですね。

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── トリアージナースの皆さんはいかがでしょうか。
<菅原看護師>

問診票は、アンダートリアージが出ないように最低限見ればよい観察項目と問診が設定されており、最低限のレベル基準から判定度を出せる用紙を使っていたので、トリアージの時間は短くて済みました。

システムを導入して時間はかかるようになりましたが、見方を変えると主訴の詳細や背景を聞くために患者さんと接する時間が長くなったのは、いい面でもあります。

初めのころは入力に時間がかかっていたけれど、入力に慣れてどこを選べば何が出てくるとわかるようになってからは、時間が短縮してきました。

一覧画面の再トリアージまでの時間表示を見ると、再トリアージ待ち時間オーバーはたまにある程度です。一覧画面の表示を見ながら黄色、緑はできるだけ1時間以内に診察または再トリアージするようにしています。問診中は、緊急度の高い赤、青を見逃さないように意識してトリアージするようになったと思います。そこはすごく有用だなと思います。


<小岩看護師>

問診票の時は記入漏れが非常に多かったため、検証の際に判定理由が不明確で評価できないことが結構ありました。このシステムを使うことによって患者さんの名前や時間が自動的に入り、小児の数字的判定もきちんと拾えるようになりました。痛みのレベルも細かく拾えるのがよいと思います。メモ欄も皆で活用しているので、患者の状態が分かりやすく役立っています。

先日のG.W.の時は本当に混雑しましたが、そういうときは最低限の入力で運用すると決めていたので、無事にシステムを使ってこなすことができました。

システムになって収集できる情報も増えたため、患者さんから情報をいろいろと聞き出すために、以前よりトリアージ実施時間がかかっていると思います。しかし、システムになったからと言って、入力負荷によって極端に時間がかかるようになった人はいないと思います。

また、どこが痛いとか部位を訴える患者さんには、身体図から探すのが本当に便利です。直感的に探して適切なJTASの主訴を選択できるようになっています。

── システムの導入後、慣れるまではいかがでしたか?
<菅原看護師>

導入してから運用が安定してくるまで、3ヶ月くらいは掛かりました。

<小岩看護師>

システム導入に合わせて、患者さん用の問診票も変更したので、そういう工夫(ある程度事前情報をもらって入力できる)によって時間短縮ができてきたと思います。

<菅原看護師、小岩看護師>

我々トリアージナースはJTASを勉強してきたわけで、むしろJTASをまったく知らない人も関わっていたので、彼らのほうがもっと大変だったと思います。

<佐藤看護師>

それでもJTASシステムの基準とトリアージ過程に基づいて検証し、フィードバックしたこともあって、導入後3ヶ月で運用が軌道に乗ったことは大きいと思います。

<菅原看護師>

問診票の検証はめくっていくだけで楽だったけど、本当に妥当かという評価はできていなかったと思います。システムを使った検証は詳細を見ているので時間がかかりすごく大変だけど、しっかり検証はできます。

<中村医師>

このシステムの検証が形式的なものではなく、本当の意味での検証だから時間がかかるのでしょうね。

── 今後のシステムに期待することは
<佐藤看護師>

(統計の画面を見ながら)

問診票のときは「腹痛」がアンダートリアージになることが多かったのですが、システム導入後、アンダー率が減りました。

トリアージの運用が固まり、検証のやり方も見えてきたので、今後はカンファレンス機能なども活用していきます。

<菅原看護師、小岩看護師>

検証する人と検証される人の間で、意見交換する機能がほしいと思います。検証する側の評価理由は記入できるけど、検証される側のこういう理由で判定を付けたという説明や逆質問をする機能がないと一方的になってしまう気がします。


<杉澤看護師>

JTASコースを受講していないとどんな主訴があるのかわからないし、どんな便利な機能があるのか、1回の説明だけでは十分に理解して使えていない。知っていると便利な機能もあるようなので定期的に教えてほしいです。


<中村医師>

どんどんバージョンアップしてるね。統計はもっと詳細に分析して行きたいし、転帰別の統計とかもみたいですね。


<佐藤看護師>

総合的な統計だけでなく看護師の個人別のデータもみたいですね。それぞれのフィードバックになりますよね。


── 皆様、今日は本当にありがとうございました。

終わりに

岩手県立磐井病院の救急外来の皆さんにヒアリングして気づいたことは、素晴らしいチームワークを持っていらっしゃることです。気さくにみんなで意見を出しあって、現場を改善しようとしています。

本インタビューも1時間以上にわたり、研修医の先生やJTASを受講していない看護師さんの意見も頂くことができました。

私たち開発側も開発をしながら、たくさんの気づきや改善点が見えて大変勉強になりました。

今後もヒアリングを通して、皆さんの意見を反映した使いやすいシステム作りを目指して行きます。


  •  本システムは救急外来において、院内トリアージを行う病院様向けの支援システムです。
  • 本システムは、緊急度判定支援システム JTAS(Japan Triage and Acuity Scale)に準拠しており、JTASを使った救急度の判定を支援する部門システムです。
  • JTASは日本救急医学会、日本救急看護学会、日本小児救急医学会、日本臨床救急医学会が監修しています。
  • 本システムの導入の際には、病院様とJTASの運用を委託されている株式会社へるす出版様との間で契約が必要となります。
岩手県立磐井病院
所在地
岩手県一関市狐禅寺字大平17
施設概要
一般病床315床
二次救急病院群輪番病院
救急告示病院
 

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